2010年に『世界史の構造』を書き終えた柄谷行人が、柳田国男について考察した一冊。
第一部は「実験の史学をめぐって」と題され、主に柳田国男が戦前に発表した「実験の史学」の評価がテーマとなっている。柳田国男は日本各地での方言の共通性を調査することで、空間が離れつつも共通した歴史・文化が存在しているということを比較文化論的に示そうとした。しかしながら、その後で柳田はこうした探求のアプローチを取ることがなくなり、その背景にある彼の思想の変化と共通性を炙り出すのが第一部でのテーマである。
続く第二部は「山人から見る世界史」と題され、天狗や仙人として表象され、平野部の社会からは完全に途絶された世界を生きる”山人”に対する柳田国男の興味と、そうした表象をインドなど他国での表象と付き合わせつつ、その意味するところを探る論考となっている。
いずれにしても、柄谷行人と柳田国男、という取り合わせが個人的には意外であり、民俗史に関する独特の探求アプローチが面白い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会思想
- 感想投稿日 : 2021年4月11日
- 読了日 : 2021年4月4日
- 本棚登録日 : 2021年4月4日
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