泉鏡花賞を受賞し、筒井康隆が本格的に純文学の世界へ飛び込んだ作品。
小説の舞台は、小説の舞台に立ったと自覚する主人公が登場人物を演じる世界。そこには時間の途切れはなく、主人公の時間の流れが延々と記述される。
また、主人公は時間移動が可能である。しかし、これはドラえもんのような時間の飛躍ではなく、時間という川を遡行し、下るイメージだ。作中で度々言及がある、ヴォガネットジュニア作品と似通った設定だ。
けれども、これを駆使して事件を解決するというわけではない。主人公が演じる物語の設定上、演技上、このような行為が必要になるだけであって、なんら解決には結びつかない。
果たして何が面白いのかと言われるとわからない。わかるのは何が面白いのかわからないということだけである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2023年4月30日
- 読了日 : 2023年4月30日
- 本棚登録日 : 2023年4月30日
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