オーダーは探偵に 謎解きは舶来のスイーツと (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015年9月24日発売)
3.81
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本棚登録 : 394
感想 : 15

・・・あれっ・・・。この本、こんなに面白かったっけ・・・?
ちゅうくらい、面白かった(笑)。

やっと悠貴の学園ネタが終わったのもよかった。
これはこれで面白いんやけど、このシリーズは就職浪人のヒロインとイケメン高校生男子が喫茶店を舞台に謎解きをする、ちゅう設定に惹かれて読んでいるので、最初の設定でいってほしい・・・。

(こう書くとすごいなヒロイン)

あと、意外と美久のキャラがここで固まった・・・? 今更

今回は、美久の面倒くさいというか、振り切れた「いい人」ぶりが本筋に絡んでいて、よくできてた!
ダニエルの過去も彼の心境も厚く書かれていて、この子もいい子なのかそうでないのか、つかみどころがない。
そこも、よかった。

すんごい笑顔でひどいことをいうダニエルにびっくりして、美久同様凍りついたわ。
面と向かってここまでいう!? そこらへんが欧米文化!?

そして、ここまで言われても
「ダニエル君、どうしたのかな」
で、済ませられる美久がすごい。普通は落ち込むやろ。
なんでこんなふうにいわれるんやろうと落ち込んで、最終的には(自分が正しいと思いたいがゆえに)ダニエルに対してイラッとする。
ダニエルが悪者やと(自分の中で)結論づけて終わるよね。

でも、どこまでもそういう思考にいかない美久に、読んでいるこちらとしては、

「そら、ダニエルみたいにひねくれたくなるかもな・・・」

と、ダニエルの肩を持ちたくも、なってしまうのよ・・・(笑)。

こうやって読み手に善悪や好みを判断させてくれる余白が好きです。


正しいというものは、日陰にいる(と、自分で思っている)人からするとうらやましくもあり、知りたくもない世界やと思う。
ひなたを知らなければ日陰だって過ごしやすい場所かもしれへんねんもん。

ダニエルにしろ、悠貴にしろ、もしかしたら真紘ですら、日陰の匂いがする・・・(笑)。
そんな人たちのなかで美久がどれだけひなたへ彼らを引っ張り出せるのか、何気に楽しみにしております。

モモちゃんも愛すべきキャラやけど、ここまで振り切れた馬鹿正直でも
「ま、可愛いかな・・・」
と、思える美久はあっぱれです・・・。
わりと失敗してるけどへこたれないところが可愛いかな。素直やな~、って感じで、可愛い。
そうやな。「12歳。」の花日ちゃんみたいな感じやな。

残念ながら美久は花日ほどモテモテではないけど・・・。
さらに悠貴は高尾みたくオトナ男子でもないけど・・・(笑)。

(あかんやん)特に後者

まあまあ、そんな美久ちゃんのことを一番憎からず思っている(と、思われる)悠貴ももれなく可愛いねんで。
私にツンデレ属性はないねんけど、美久ちゃんくらいニブチンやったら、お相手は悠貴くらいのヒネクレツンデレでないと成り立たんねやろうね。

私はもっとわかりやすくてラクな相手がええな。イヤアンタの好みはどうでもいい


ここで美久が言う「楽」は、相手との距離感を間違えたときに修復する努力を怠ることのようです。
決して、「若いうちの苦労は買ってでもしよう」と、いうポリシーではない様子。


確かに、美久の馬鹿正直っぷりは、見ていて腹立つときもあるやろうな~、と、思う。
悠貴が(美久に対して)扱いに困っているのに冷たく突き放せないのは、結局上倉家は育ちがいいんやろうな、と、思う・・・。

いやいや、真紘のほんまのところはどうなん!? 笑

この人、じつは真っ黒やったらどうしよう。ちゅうか真紘と悠貴の関係も謎。
ほんまにふつうの兄弟なん、ここ。
そもそもご両親はどうしてたっけ? 序盤で語られてるのに、イッキ読みしすぎたせいで細かいところを忘れてるのかな・・・。

と、思っていたら、最後でまさかの「お父様」発言が・・・!
やっぱり、家族に何か秘密があるよね、上倉家!

やっと、上倉家をフューチャーしてくれそうな予感に、ますます続きが気になります・・・。
半年ほど前に発行か・・・。秋口に新刊かな・・・。



今回、昭和20年代のころも絡めた短編もあった。
当時学生やったおばあちゃんの手紙を云々、ちゅうネタで、やっぱりこれも面白かったんやけど、平成も28年ほど暮れると

昭和20年代なんて明治時代並みに「過去のこと」

やねんね・・・。
なんやろう、扱いが・・・!


さすがに太平洋戦争以前は「教科書でしか知らん過去」でも、太平洋戦争あたり以降は「そこそこ身近な過去」やったはずやのに・・・。ひー。

過去の出来事になるのが困るわけじゃないで。感覚の違いに、ややびびる・・・(笑)。


それにしても、1巻だけ蔵書にあって、その続きがなかったためまとめて購買リクエストを出して購入してもうたこのシリーズですけれども、この最新刊はリクエストしなくても蔵書に増やされていた!

(今回、この本は新刊リストから見つけてリクエストしたので)

わーい!
蔵書に、市民の声が繁栄されてるー! ありがとうございます。(*´ω`)

お役所仕事とかいわれるけど、図書館に関しては、(おそらく)勤めてはる方も利用する方も
「本が好き」
と、いう一番大事な共通点があるので、こう、もめ事は少なそう? そうでもないのかしら?



挿絵不要派の私やけれども、このシリーズの表紙は好きです。(*´▽`*)
メディアワークス文庫はイラストや装丁も「大人向けの漫画テイスト」にするよね~。
作風も含め、「大人のライトノベル」ってところか。

いやいや、大好きですよ、ライトノベル!!

(2016.05.14)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月19日
読了日 : 2016年5月14日
本棚登録日 : 2016年9月19日

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