低所得で人間関係も希薄な、セックスワークに従事する女性の実態を書いた本。なかなかに悲惨な状況だが、いったいどうすれば彼女たちが貧困から抜け出せるのか分からない。
著者によれば、彼女たちは低所得であるのに加え「3つの無縁」と「3つの障害」によって貧困になっているという。3つの無縁とは「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」である。ようするに助けてくれる人がいないということだ。3つの障害とは「精神障害・発達障害・知的障害」である。軽度でもいずれかの障害を持つことによって、コミュニケーションが上手くいかず、書類手続きも不得意となる。結果、「3つの無縁」につながるというわけだ。
そうして繋がり絶たれた彼女たちは、その場を凌ぐためセックスワークの世界に取り込まれる。ここで厄介なのが、セックスワーカー = 貧困というわけではないことである。また、セックスワークの元締めが上手いこと最低限の世話をすることもある。その結果、彼女たちの貧困状態は可視化されない。自分たちからは助けを求めることができず、制度の方も彼女たちを補足できない。だから貧困状態が続く。本書が発売されたのは2014年だが、2021年現在はどうなっているのだろうか。
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- 感想投稿日 : 2021年11月1日
- 読了日 : 2021年10月27日
- 本棚登録日 : 2021年10月27日
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