3月のライオン 15 (ヤングアニマルコミックス)

著者 :
  • 白泉社 (2019年12月26日発売)
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真っ暗な部屋の中を自分の判断だけを頼りに決めて進む、そんな場所に降りていかなければならない苦痛が、心の拠り所のなかった以前よりも、自分を包んでくれる人達の暖かさを知った今の方が大きく感じるという矛盾。一度大切なものを全部一瞬で失ったことがある零であるからこそ感じる矛盾なんだろう。キャンプファイヤーを遠目に見ながらひなちゃんと語り合ったその思い出が、ひなちゃんが作ってくれたシチューの暖かさが、ずっとずっと、これから先も零を包んでいて欲しいと願わずにはいられません。失ったもの、手に入れたもの、これから失くすかもしれないもの、失くしたくないもの…その全部を乗せて流れていく河の流れ。行き着くところは何処なのだろう?分からないけれど、前を進んでいくのだろう。それが人生。
零が、自分の抱えてきたものが自分のことだけで出来ていたからと言って、自分以外の重さも背負って生きてきた田中七段よりも小さいとか、考えなくていいと思う。どちらが大きいとか小さいとか、重いとか軽いとか、そんなんではないと思う。恥ずかしいとか不甲斐ないとか、思わなくていいと思う。
将棋のことは何も分からない私が言うのもなんだけど、零はもっと、自分を追い詰めないで、大切な人を手放さずに生きて行って欲しい。

ブンちゃんの語りが各話ごとに入ってきてうるうるしました。ブンちゃんの独特な愛嬌顔が好きだったので、羽海野先生のTwitterでブンちゃんの悲報を聞いた時はとても悲しかったです。ブンちゃんどうか安らかに…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月12日
読了日 : 2020年1月12日
本棚登録日 : 2020年1月11日

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