彩ちゃんに佐和ちゃんが
「私も人を殺したことがないのだけれど」
と言うところが良い。友達でライバルならではの
アドバイスの仕方だなと思う。
人を恨んだことがあまりなくて仮想敵を作ってみた
今一番ライバル視している人
と、さらさに誰かと問われても秘密と答えるところも
なんだか素敵だった。
教師として平等に評価を心がけているけど
どうしたって自分が見出した才能のある子を応援してしまう
というの、実際あるだろうし、それはそれで
表立って贔屓するのでもなければ素敵なことだと思う。
そういう子が花開いていくのを見るのは
教師冥利に尽きるだろう。
ミュージカルの舞台は総合格闘技というくだりがあったが
確かに歌がうまいとかダンスが美しいとか
そういった”一発必中の華麗の技”で逆転することは
観客目線で見ていても実際ある。
さらさの班は先生がロミオの役で、確かにきついけれど
良い経験でもあると思う。
一瞬でその場の空気を身にまといすべての人の意識を自分に向ける。
良い役者さんは本当に、一瞬で人を惹き付ける。
大先生が
「俺には芝居に遊びはあっても遊びの芝居はない。いつだって本気」
とさらさの前で言っていた回想があったが
本物に触れた経験があるさらさにとって
本気でやってくれる安藤先生は寧ろ燃料になったのだろう。
歌舞伎の見得っていうのは1番美しい動きの時間を
自分で止めてここだよ、見なよ
俺のかっこいいところはここだよってお客様に合図する。
助六になれなかった辛い経験だけれど、
全てはさらさの身になっているのだなとも思う。
さらさは立ち聞きして事情を知った上で
自分から暁也に彼氏になってくださいと言ったとは思わなかった。
そういう”大人の事情”を含めた、
助六になると涙ながらに言う暁也への
諦め、侮蔑、羨望、いろんな感情が綯交ぜになったであろう
過去の自分を投影したさらさのティボルトの最期の表情は見事だった。
ジュリエットになれず、悔しい愛ちゃん。
悔しいと感じられるくらい真剣に打ち込めるようになったことは、間違いなく進歩だろう。
愛ちゃんのジュリエットは本当に素晴らしかったが
14歳にしては大人すぎたという落選理由は納得がいく。
だから、可愛らしいジュリエットだった彩ちゃんがえらばれた。
食事に誘ってもらったのを断って、
友達ってこういう時に一瞬にいるものでしょう? と
ずっとさらさを待ち、探す愛ちゃんがとても可愛らしいかった。
- 感想投稿日 : 2021年4月5日
- 読了日 : 2021年4月4日
- 本棚登録日 : 2021年3月30日
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