よく人に「オレはアンチ巨入だ」と言うと、そいつは決まってニヤリとして、「アンチ巨入は実は巨入ファンなんだ」ということを言います。
オレはたいていムっとして話を逸らしてしまったものですが、それはある意味図星だからです。
確かに、嫌いな(意識するが)ゆえに、巨入のメンバーは真っ先に覚えるし、ペナントレースの順位やゲーム差も巨入に限って知っていたりするのです。
(さすがに今はそういうこともなくなりましたが)
北海道では特にそうですが(本書の中で京都出身の野村氏もそうだったと言っています)、プロ野球中継といえば巨入戦しかなかった時代です。しかもV9とか言って、とにかく圧倒的に巨入は野球の頂点に君臨していた。それこそまばゆいばかりの存在で、確かに子供の頃は巨入ファンでした。
でも、その後、Vを逃がしたり下位に低迷する年もあったりするにつれ、徐々にかつて輝いていた巨入に幻滅するようになったような気がする…。
「なぜアンチなんだろう?」と考えるにつけ、そういう理由が脳裏に浮かびました。
この本には、まさにそういうことが“巨入凋落の原因”として書かれていました。日本の野球は紛れもなく巨入が創り、リードして来た。球界の範たる立派な監督と選手ばかりだった。それが今は…という具合です。
そればかりでなく、「中心なき組織は機能しない」「この状況でなぜそのボールを投げるのか、その根拠を明確にしろ(データ活用のコツ)」など、組織論、マーケティング論として読んでも傾聴すべきことが書いてあります。
これは好著でした。
- 感想投稿日 : 2019年6月13日
- 読了日 : 2006年8月20日
- 本棚登録日 : 2006年8月20日
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