一読してわかったことは、とにかく領土問題に客観的見解などない、ということだった。
だいたい、どこがあり得る「線」なのかということも、厳密にみると何とも言えないらしい。(千島列島の先かも知れない)
日本政府は現状を不法占拠と見なしているが、ロシアにはロシアの言い分があり、お互いの主張は近くなったり遠くなったりしつつ平行線をたどったままなのだ。
膠着状態が打開されない一因は北方領土が両国間にとって真に切実な問題ではないからだ、という指摘もあるが、宙ぶらりんな状況を早く解決しなければならないのは当然だろう。
著者は、もとロシアと中国の国境画定プロセスの研究者である。(現・北大スラブ研究センター教授)
その立場から、領土(というか国境)問題に対してユニークな視点を提供している。
それが副題の「4でも0でも、2でもなく」である。結論だけポンと書けば、国後までは日本に戻せ、ということである。
落としどころとしてはアリなのではないか、と思った。また数十年にもわたって出口のない駆け引きを繰り返すより、現実的な線で決着をはかるのがお互いのためになりそうだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2019年6月13日
- 読了日 : 2006年9月5日
- 本棚登録日 : 2006年9月5日
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