ザ・ベリー・ベスト・オブ「ナンシー関の小耳にはさもう」100 (朝日文庫 な 14-6)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2003年6月1日発売)
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感想 : 32
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なんて鋭い(あるいは穿った)観察眼なんだろう。「明石家さんまがトークの天才であると認知されたことでいちばん大きいのは、さんまが天才であるということではなく、さんまがやっているタイプのトーク形式が本流(のひとつ)であることが認知されたというほうにあると思う」とか、「あの安い復帰特番、それによって許された稲垣吾郎。それが本当に意味するのは、あれで復帰劇大成功とすることができる「力」の誇示である」とか。なるほどな、という独自の見解、いや、こじつけか?「私は、テレビの中に見つけた違和感のようなものに自分なりの屁理屈をつける作業が好きなわけであるが、それは必ずしも「正解」を出すことが目的ではない。正解など知りたくはない、と言ってもいい」と彼女も書いてるように、それは屁理屈なのかもしれない。けど面白い。世の中の大半は面白ければいいような気もするしな。

それにしても芸能界の栄枯盛衰ってなんか儚い。90年代〜2000年代初頭って自分が一番テレビを見ていた時で、この本で評される人も全員ではないにせよ大部分知ってるのだが、果たして今の芸能界の状態を見た彼女はどう思うのだろうか。人気者だった渡辺満里奈もめっきり見なくなったし、薬丸も「はなまるマーケット」が終了してからはかつてのような自然さはどこにもない(どこか必死だ)。彼女の観察眼でもったして今の芸能界を見たらどうなるのか、それを知ることができないのがただただ残念。

文章術も素晴らしいけれど、彼女のような観察眼をもってすればどんな世の中も楽しいだろうな。自分も彼女のような境地を目指してみようかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイルポ対談
感想投稿日 : 2015年12月18日
読了日 : 2015年12月18日
本棚登録日 : 2015年12月13日

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