地球持続の技術 (岩波新書 新赤版 647)

著者 :
  • 岩波書店 (1999年12月20日発売)
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感想 : 15
4

 エネルギーを有効活用し、地球を長持ちさせる術が書かれています。
 沢山認識を新たにしました。例えば・・・
 ・CO2濃度が安定しても、海面の上昇はその後数100年間も続くこと。
 ・輸送に要するエネルギーの理論値はゼロであること。
 ・紙やプラスチックは最後は上手に熱源にする必要があること。
 ・今や太陽電池の製造・設置に要したエネルギーは2年で回収できること。
 ・生ゴミも燃せばダイオキシンが発生すること。
 等々

 私は人間がいる限り地球は破局に向かわざるを得ないと思っていましたが、本書によればそうではないシナリオも書けそうです。結びの部分を引用します。

******引用開始********

 完全循環型社会へ向けて

 これまで見てきたビジョン2050のシナリオであれば、21世紀後半から、持続可能な完全循環型社会の建設に向かうことができる。また持続可能であるばかりではなく、われわれの生活をさらに発展させることも可能であろう。中間目標を達成した時点でのエネルギー消費量は現在とほぼおなじで、地球に注ぐ太陽エネルギー総量の約一万分の一である。バイオマスも太陽電池も、われわれには十分すぎるほどのポテンシャルをもつから、それを利用してさらに多量のエネルギーを得ることができる。化石資源からの脱却へ向けて、これらの導入加速へ拍車をかければよい。

 技術開発の進み方次第では、エネルギー消費量は現在の値を大きく超えても差し支えない。つまり、一万分の二の太陽エネルギーを利用するなら現在の二倍のエネルギーを使うことができるのだ。電気自動車がクリーンに走り、家屋は快適な冷暖房システムを有し、大都市のごく近郊に美しい海や森林があり、それらは自然エネルギーによって維持されている。そういう未来イメージは決して夢ではないのである。

*********引用終わり*************

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 雑学
感想投稿日 : 2010年6月13日
読了日 : 2010年6月13日
本棚登録日 : 2010年6月13日

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