さよならドビュッシー (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-1)

著者 :
  • 宝島社 (2011年1月12日発売)
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少女の成長を描きつつ、最後には驚きの展開が用意されているミステリー。

読んでいて、人間はもっと強く生きなければならないと考えさせられた。
どこかにメモしておきたくなるようなフレーズが多く登場する。

弱者の立場になって、人間の弱さ、あさましさ、醜さを思い知らされた主人公。
人間だれしも欠陥を抱えている、と岬は言うがそれを自覚し、生活の節々でそれに悩まされている人は多くはないだろう。
そして、他人の欠陥やそれによる苦しみに気づけることができる人もごくわずかしかいない。
だからこそ僕らは、自分や他人にもっと想像力を働かせながら生きないといけないのだと思う。

自分の弱みを自覚している人間、しかもそれが致命的な苦しみである主人公やこの話にも登場するベートーヴェンといった偉人たちに、僕は人並みに同情し、自分がこうはなりたくないと考えてしまった。
しかし、それと同時に彼らがすごくうらやましいとも思わされた。それは、彼らが自分を表現し、他人の心に強く訴える力を持っていたからだ。

逃げずに強く生きること。
想像力を働かせて生きること。
表現する力を持つこと。

この本を読んで考えさせられたことはどれも難しいことのように思える。
それでも自分の人生の中でこれらのことを少しずつでも意識していきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2015年2月1日
読了日 : 2015年2月1日
本棚登録日 : 2015年2月1日

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