ソフトウエアは、建築に例えられることが多い。しかし、このアナロジーを当然のこととして受け入れることは、私にはできない。その理由は、建築がその成果物を一望できることに対して、ソフトウエアを一望することは不可能であるからである。この違いにより、アーキテクチャーありきのトップダウン思想と、部分の集まりがアーキテクチャーを織り成すというボトムアップ思想の両端にそれぞれが位置する。 本書における、建築家とソフトウエア・エンジニアの対談に、読むべき点があるとすれば、このことに言及した鈴木雄介の発言。この思想的対立を見事に喝破しているその内容は、この人物がそれなりのソフトウエア・エンジニアであることを裏付けている(ソフトウエア・アーキテクトと名乗るやからには、怪しいやつが多いので)。 逆に言うと、この視点的違いを理解している人は、この本を読む必要は無いと思う。という意味において、私には読む必要のない本であった。
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- 感想投稿日 : 2018年10月23日
- 読了日 : 2012年7月25日
- 本棚登録日 : 2018年10月23日
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