アシュリーの戦争 -米軍特殊部隊を最前線で支えた、知られざる「女性部隊」の記録

制作 : 新田享子 
  • KADOKAWA (2016年6月29日発売)
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感想 : 5
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タイトルからして、シリーズ「はたらく女性」! 米軍には男性が多い! だが活躍している女性兵士も中にはいる! 取材してみました! みたいな三文記事を想像してしまうが、実際には全く異なる。彼女らは女性の権利運動などは考えておらず、単純に自分の夢と国家、仲間のためだけに女性だけの特殊部隊に志願している。その性質上、機密性が高く、「隠されたアフガンの戦士」と呼んで差し支えないだろう。

アフガンはソ連もアメリカも撃退した国として有名だ。アメリカは現在進行系でテロ対策に追われている。友軍の情報をリアルタイムで追えるというハード面の進歩がある一方で、現地住民との信頼関係の構築といったソフト面ではまだまだである。この物語はその点に着目している。

アフガンの女性は文化的にとても大切にされる。夫以外の男性に顔を見られるとそれはすなわち侮辱だ。その点を利用して、女性がテロの武器を運んだり、女装テロリストがまんまと検問を抜けたりする。テロとの戦いにおいて、女性兵士はこの点で必要とされる人材なのである。

ソ連の女性兵士の物語は『戦争は女の顔をしていない』などで有名だが、アメリカの女性兵士の話は聞かない。そもそも米軍では女性兵士の地上戦闘を禁じている(いた)し、女性兵は艦船に乗ることもできない(できなかった)。その意味でこの小説は非常に興味をそそられる。

タイトルこそ『アシュリーの戦争』だが、実際にはチームのみんなが主人公で、誰か誰だかわかりにくい。戦争の雰囲気は楽しめるが。タリバン怖いねえ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年4月27日
読了日 : 2021年4月27日
本棚登録日 : 2021年4月27日

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