自由という価値を無条件にまつり立てることに対して警鐘を鳴らすこの本は、タイトルの通り「自由とは何か」考えるきっかけを与えてくれます。全6章からなりますが、どの章も内容が濃縮されていて、読みごたえがあります。
著者は、自由を盲目的に礼讃することへと至ってしまう理由として、善い生を営むための自由という手段が目的化されてしまうことを挙げています…まさにこれは、現代社会における自由を再認識する上で基本的なことではありますがとても重要な問題でしょう。
個人的には、人生における失敗やうまくいかないことの合理化がこの手段の目的化を引き起こしてしまうのではないだろうか…と読みながら考えていました。よく言われることですが、ゲームのようなバーチャル世界とは違い、われわれの人生には「リセット」ができません。なので、選択を誤ってしまい後悔することも、何かをやる上で失敗してしまい他人に迷惑をかけたり非難されたりすることもあるわけです。このとき、しばしばこのことを引き受けきれず、そのプレッシャーから逃れようと目を背けたり開き直ったりします。「自由だから云々」と言い訳をして。しかし、本当に善い、幸福な人生を送るためには、そのことと真摯に向き合い応答することなのかもしれません。
…なんて、口では何とも言えますが…そういうことを考えさせらる良書でした。
一つ引っかかったのは、第6章での「義」や「犠牲」についての話です。もうすこしいろいろな視点からの意見が知りたかったです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年2月25日
- 読了日 : 2011年2月25日
- 本棚登録日 : 2011年2月14日
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