日米開戦と情報戦 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2016年11月16日発売)
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本棚登録 : 213
感想 : 20

インフォーメーションとインテリジェンスの違いについて論じたのち米英との戦争を誘引した南部仏印進駐についての意思決定過程を時系列的に解説していく.日米両国で相手側の暗号が解読されてその情報をいかに活用したかを調査しているが,資料は失われていて不明な点も多いようだ.
いずれにしも日米両国および関連国家の意思決定過程はまさにカオス的でどちらに転ぶんだかは些細なことで決まってしまったように感じる.「戦争責任」と軽く言ってしまうが,戦争に至る過程はかなり複雑で誰の責任なのかという問題は解が無いのかもしれない.

日本がドイツに送ったリップサービス的な暗号文書がアメリカのトップに直接知らされた結果,日本政府の考えが曲解された面があるというのは驚きであった.著者はトップが直接インフォーメーションにアクセスすることの危険性を指摘している.これは自分にとって逆説的で全く新しい視点であった.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2018年11月11日
読了日 : 2021年5月3日
本棚登録日 : 2018年11月11日

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