ロード・キル (扶桑社ミステリー ケ 6-1)

  • 扶桑社 (1996年6月1日発売)
3.21
  • (4)
  • (11)
  • (31)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 156
感想 : 14
3

追い詰められたキャロルとリーはハワードを殺害。だが、それを見つめる目があった。その目の主ウェインは二人に接触しドライブに連れ出す。それは通る道に死体を並べる地獄の殺人旅行だった。
と、とても簡潔な内容となっている。まさにロードキル。直訳でここまで内容をカッチリとはめ込んで来るタイトルが気持ち良い。

殺人現場を目撃した事により願望のリミッターが解除された産まれたてホヤホヤのサイコキラー、ウェインの暴走ドライブは決して無鉄砲でも無ければ衝動的でも無い。実に計画的で冷静。それがこの単調な作品のおぞましさを強調しているように感じた。ウェインの有罪リストに記載されたであろう人物達があまりにも簡単に、無慈悲に殺害されていく。
ケッチャムの悪魔的要素は無慈悲に殺害される彼等の背景を、先に興味が傾く程度に簡潔に語る事だ。「この人はこんな人か...」と丁度よく認知させといて、それを無に返してくる。トドメは認知をさせてから刺す、もう完全にサイコパスの手口ではないか。

完全にぶっ飛んでいる事しか語っていない気がするが、この作品 ケッチャムにしては「まとも」らしい。まぁ確かに代表作である「隣の家の少女」と比べるとなるほど、正常な気がする。しっかり殺してしっかり終着するものね。ふむ、なんだつまりは正統派スプリーキラーという事か、納得。 (???)
..ご心配無く、感覚が損壊している自覚はあります。

ケッチャムの作品でしっかり記憶に残っているのはここを始めてから読んだ「隣の家の少女」くらいだが、クライマックスは強引なイメージが強い。論理的思考は意味をなさないし、そもそも解答編が用意されているお優しい代物では無いので、悪夢の決着を純粋に楽しむべきかと思う。だが、キャロルとリーとウェインの地獄のドライブの軌跡を辿れば「終わりよければ全てよし」とは言ってられないだろう...。
風圧でフロントガラスに潰された羽虫達と同じ様に、進む事で犠牲となる命が余りにも多すぎた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー

今回、KILLERについての出現形態分析が大変興味深かった。
連続殺人(シリアルキラー)は復讐と同時に有名人になるために殺す、大量殺人(マスマーダラー)はもはや生き延びる意思がなく一種の自殺の遺書として殺す。
ふむ、名を轟かせた実在する過去の殺人鬼達の行動理念を知れば、「まとも」の維持に貢献されるのだろうか。それとも彼らの大きな闇と存在は、己を蝕むリスクとなるのだろうか。

私は恐怖を知る事で恐怖を回避したいし、恐怖のフィクションに触れる事で現実の安息を再認識したいのだろう。いやはや、つくづく自分本位な奴だと思う。でも、平和が好きなのよ、ほんとよ( ´•ω•` )

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外作家
感想投稿日 : 2022年4月16日
読了日 : 2022年4月16日
本棚登録日 : 2022年4月16日

みんなの感想をみる

コメント 2件

ヒボさんのコメント
2022/04/17

NORAxxさんこんにちは♪
さすが暗黒物好きとしてJ・ケッチャムはおさえてられますね☆
私はオフシーズンからドハマリしましたσ(^_^;)
「嘘、そして沈黙」ゲットしてきたので、今読んでいるのが終われば手をつける予定です(^^)/

NORAxxさんのコメント
2022/04/18

ヒボさん、こんばんはー♪
ケッチャムは好きで、昔よく読んでいた記憶があります。オフシーズン、内容は覚えていませんがそちらも代表作ですね。今度しっかり読み直してみます!!派手派手しさはなく、淡々とした狂気が恐ろしいんですよねぇ:(´◦ω◦`):プルプル
本棚登録見ましたー☆登録ありがとうございます!!嬉しいです!!エログロサイコを堪能して下さいませ(笑)

ツイートする