シリーズ三作目の短編集。シリーズ全五作の折り返し地点となる今作は前二作に比べ、変化球的な作品が数多く並んでいる。9.11を経たケラーの心の揺れに始まり、今まで多くを語られなかった彼の内面が描かれていく。依頼人や標的との接触を禁じてきたケラーが偶発的だったり自発的にルールを逸脱することで展開のバリエーションは増えているが、変化の及ぼす影響により、前作で仄めかされた【引退】の二文字もより一層現実的となる。あとがきによれば、次作は本格的な長編とのこと。書店で中々見かけないので、入手し易い内に積んでおいて大正解。
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- 感想投稿日 : 2021年3月28日
- 読了日 : 2021年3月27日
- 本棚登録日 : 2021年3月28日
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