人はひとりで死ぬ 「無縁社会」を生きるために (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版 (2011年1月6日発売)
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感想 : 19
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新書書き下ろしのために引き伸ばしたような冗長さと、氏のこれまでの研究の上澄みをさっとおさらいする感じの、論とはいえない講話的な内容なので、ちょっとどうかと思うけれども、自分はかねがね、孤独死・無縁死の何がいけないのか、なんで怖いのかそうなりたくないのか、心底ピンと来ていなかったので、本書のメッセージには共感する。

自由で心地いい無縁化社会を享受しながら孤独死だけはしたくないって、不便や不快はいやだけど放射能は浴びたくない、というのと似た虫のよさを感じる。
孤独死しないために生涯のパートナーを探して家族を・・・なんて相手に失礼な話だし、自分もそんな理由でひとから選ばれたくないし(笑)

自分は完全なアウトローではなくそこそこ世間の中に生きていて、いろんな人との緩やかな縁に感謝し、世の掟や務めはそれなりにまっとうしているが、根本的に無縁系。国家や組織に翻弄されず、なるべく立派に孤独死を遂げたいものである。

[more]<blockquote>P24 網野は無縁、ないしは公界の特徴を、外部の権力が入ってこないこと、田畑などの賃貸料である地子や義務として果たさなければならない諸役が免除されること、自由通行権が保証されること、私的隷属から解放されることなどに求めていた。

P27 一番問題なのは、すぐに政治や行政をあてにしてしまう私たちの思考方法である。[中略]孤独を恐れるあまり、安易に体制に依存し、それに迎合することにさえ抵抗感を抱かなくなってしまっている。
無縁死や孤独死は、私たちが是が非でも避けなければならない死のあり方なのだろうか。無縁社会は否定されるべき社会のあり方なのだろうか。

P119 創価学会は日本の中間集団の中で最も規模が大きい。

P159 その人間が生きていたということは、誰かの記憶には残っているかもしれないが、近しい人間でなければ、すぐに記憶から消えて行く。その存在を思い出して供養してくれるような人間もいない。おひとりさまは、死後もまた孤独なのである。けれども、おひとりさまとして生き続けたということは、徹底して自由に生きたということでもある。

P176 果たして自分は子孫による供養に値する存在なのかどうか。</blockquote>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年10月18日
読了日 : 2011年7月30日
本棚登録日 : 2018年10月18日

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