まだ温かい鍋を抱いておやすみ

著者 :
  • 祥伝社 (2020年5月14日発売)
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本棚登録 : 2028
感想 : 156
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食をキーにした短編集。著者は、女性の心の揺らぎ、シスターフット系の作品に長けている。
ふと道を外しジャンクなピザの味に恍惚としたことで、逆にメンタルを病んだ夫を理解し包摂できるようになる「ミックスミックスピザ」子を亡くした友人を引き取って食を与え続け自らの喜びを知る「シュークリームタワーで待ち合わせ」がんで味覚を失い死にゆく優しい友人が残してくれた鍋「大きな鍋」がよかった。

P172「家庭は、異世界だよ。社会とは違う。ちょっとずついろんなものがずれる。愛情で、何らかの磁場が狂う。」

P182それは奇妙に甘美な体験だった。一つの命にずっと触って、それが太くしたたかになるのを待っているのだった。【中略】私はたぶん今後も、満ち足りた人を祝福するヒトサラは作らないのだろう。そういう食卓を、心の底では信じていない。それよりも幸のような人に食べてほしい。苦しい時間を耐えていく人の食卓に豊かさを作りたい。

鶏とセリのさっぱり煮:鶏とセリに細切りにしたゴボウ。薄味に仕上げてお酢とごま油で風味をつける。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2024年2月11日
読了日 : 2024年2月3日
本棚登録日 : 2024年2月11日

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