プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動

著者 :
  • 日本能率協会マネジメントセンター (2008年12月19日発売)
3.59
  • (30)
  • (40)
  • (40)
  • (11)
  • (7)
本棚登録 : 498
感想 : 43
3

プロデューサーというと、テレビや映画、音楽や広告など業界のお偉いさんが、まず思い浮かぶ。しかし、著者はプロデュースをもっと幅広く、「一つのビジョンのもとに、人々の力を借りて『新しい何か』を創りだし、現状を変えること」と定義。公務員、農家にサラリーマン…職種に関係なく全ての人がプロデューサーになれるという。問われているのは「新しい何か」を世に送り出したいという意思。そんな願望を抱いている人にオススメの一冊だ。例えいまは情熱が小さな火種であっても、それを上手に大きな炎にする手立てを教えてくれる。

プロデュースの原点は1個人の願望。そこに向け、“小さな行動”を積み重ねていくことが大切だと説く。具体的には、①生の情報を収集する②支援者・共感者をつくる③より良い未来小説をつくる④自分のモチベーションを高める、の4つ。1つ行動すれば新しい何かが生まれ、起爆剤にして次のステップへ、これらを繰り返すうちに最終的には当初の想像図を超えた(もしくは実現困難と考えていた)未来にたどり着くとする。

中でも②を重視。「プロデュースは、共感者、支援者、そしてともに行動してくれる仲間が登場して、小規模でも強力で心強い行動体勢ができるかどうかが実現への鍵となる」。壁にぶつかった時にも仲間の存在は大きい。「『あなたは正しい、あなたならできる、私は信じる、応援する、一緒にやっていこう』というメッセージを送ってくれる人が身近にいることによって、はじめて前に進んでいける」

夢へと向かう仲間との冒険。そこで必要となるのが地図ともいうべき指針であり、次の7つに対して答えを出すよう求める。Ⅰビジョン<(1)自分は何がやりたいのか(2)なぜそれをやりたいのか>Ⅱ戦略<(3)突破口を開く鍵となるアイディアは何か(4)自分の果たす役割は何か(5)誰にどんな役割を担ってもらうのか)Ⅲ価値<(6)なぜ、このプロデュースが必要なのか(7)どのような波及効果がうまれるのか)。自分自身がワクワクするようなストーリーを描き、どんな利益があるのかも含めて仲間を口説いて巻き込み、ともに前進していく。たとえ遭遇してしまった時にでも、地図さえあれば、共有したビジョンを再確認して新たな一歩を踏み出せるという。

「新しいものを創造したり変革を起こしたりするリーダーシップを『大人』として発揮するためには、『子供』の部分を持ち合わせていることが必要だ。
 このパラドクスには真実がある」

幼いころから心動かされる瞬間が好きだった。人との会話や読書を通しての、ドキリ・ワクワクの興奮、シュンとなったりポロリと流したり。裏返しの関係にある、自分の発したメッセージで相手に何かを感じてもらえた瞬間にも喜びがわく。『こんな欲求を毎日満たしてくれる世界ないですか?』。まず自分の中にあるはずの、少年心にたずねてみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2010年6月2日
読了日 : 2010年6月2日
本棚登録日 : 2010年6月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする