突如として街から消えたメリーさんを被写体の中心に据え、伊勢佐木町周辺の街が持つ風俗性や街の生い立ちを絡めて紐解き、それを丹念に綴っていく。
淡々と描写される関係者のインタビューから、メリーさんが抱えてきた孤独や特異性がダイレクトに伝わってくる。それは想像を絶する物だ。
上から目線の施しや情けは無用だったのであろう、凛として生きたかったのであろう、と無言のメッセージが伝わってきた。
良し悪しの判断を元に誘導したり、押し付けがましい解釈を差し込むなどの余計な演出はない。
作品全体を包み込む、あるがままを映すヒューマンな空気に心を動かされる。
何人もの貴重な語り部が登場するが、病を抱えていたりしてギリギリのタイミングで間に合ったという感じがする。
老人ホームで余生を過ごしているメリーさんの描写も含め(土足で踏み込むようなことはしない、誠実さが伝わってくる)映画を超えた貴重な記録だ。
作中で、五大路子が思い込みたっぷりにメリーさんを演じている描写があるが、その描写いらんわと萎えた。
本当に余計。そこだけがマイナスポイント。
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- 感想投稿日 : 2013年8月23日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年8月23日
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