逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社 (2005年9月1日発売)
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江戸後期ごろの日本に上陸した外国人が見た日本の風景や文化、日本人の性格や見た目なんかを外国人の目を通して書かれた旅行記を紹介した、古き日本を知るにはもってこいの一冊。

約600ページあって、かなりの根気が必要だった。

興味深いことがたくさん書かれていたけど、中でも日本人の無邪気さ、率直な親切さ、むき出しだけど不快ではない好奇心、自分や他人を楽しませようとする愉快な意思があり、女性は特に美しい作法や陽気な魅力をもち、みんな気持ちのよい挨拶をかわしていたということが印象的だった。

日本人は勤勉で真面目で恥ずかしがりやで、あまり陽気さや無邪気さは出さないような印象があったけど、平和で華やかな江戸時代には、そんな陽気な日本人がたくさんいたんだろう。

何かにつけて大笑いをするという記録もあり、印象が少し変わった。

また、中国を通ってやって来た外国人は、全てが朽ちかけている中国とは違い、破損している小屋や農家はほとんど見受けなかったと快い印象を受けている。住民はぜいたくに振る舞うとか富を誇示するようなことはしないけど、飢餓や貧窮の徴候は見受けられなかったらしい。

この時代特に海外では、特権階級と労働者がいて、特権階級の人は豪華絢爛なばかでかい建物に美術品を並べて労働者から搾取する生活を送り、労働者はボロボロの小さい小屋に不幸を感じながら生きるというのが当たり前の構図の中、日本では武士や殿様でも所詮は紙と土でできた家に住み、ほとんど貧富の差はなかった。庶民や農民の生活の中にも幸福感があることを、彼らの屈託のない笑顔から見てとれたようだ。

よく、古き良き時代として戦後の昭和が紹介される。昭和も確かに素晴らしい時代だったと思う。だけど、260年もの間、平和な世の中が続いたおかげで培われた江戸の町人文化や当時の日本人の開けっ広げな性格、この時代も忘れてはならない古き良き時代だろうと思った。

日本文化、日本の歴史、日本人ってほんとに興味深いし、どの時代の人たちをとっても、あの頃の先人のおかげだなと感じる部分がたくさん出てくる。に日本人でよかった~!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年7月26日
読了日 : 2014年7月27日
本棚登録日 : 2014年7月26日

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