外道クライマー

著者 :
  • 集英社インターナショナル (2016年3月25日発売)
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セクシー登山部の、舐め太郎。「山ヤ」として相当の力量(日本で15番目くらい?)を持ちながら、あえて格下とされる「沢ヤ」を標榜する数奇者。しかし、それは「山ヤ」が「沢ヤ」より偉いのかという反骨精神の表れでもある。かつて、登攀とは、その頂きの天辺を踏むことにあった。しかし、より高く、より困難な(単独、無酸素等)それは、今日日もう無いのではないか。舐め太郎に言わせれば『企業のロゴ入りの服を着て登るなんてダサいことはやれない。重役風の男と握手をする写真をブログに載せ「登山家」「冒険家」なる職業を名乗っている男など100パーセント、パチモン』なのである。より高く、より困難な登攀など、もはや「山ヤ」の郷愁でしかない。舐め太郎が外道であることは、いっそ道を外れることで、世界にまだまだ、より面白く、より刺激的な登攀が残されていること、それを示すことにあるのだ。

巻末の角幡唯介の解説がとてもよい。
http://honz.jp/articles/-/42617
「どんなに行儀の良さを装ったところで、登山をはじめとする冒険行為一般は、反社会的であることから免れることはできない。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年4月9日
読了日 : -
本棚登録日 : 2018年4月9日

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