ブックオフと出版業界 ブックオフ・ビジネスの実像

著者 :
  • 論創社 (2008年5月1日発売)
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 「新版 図書館逍遙(小田光雄著)」から同著者の著作の流れ読み、図書館で借りた。
 出版業界の委託・再販制度を背景に大量に出版され廃棄の道をたどる書籍や雑誌、街中の小売の書店を駆逐する郊外型大型書店、そんな変化を背景に、ブックオフは1990年に坂本孝氏(1940-2022)により創業された。著者は坂本氏の経営スタイルを委託・再販制度に付け込むパラサイト経営だと攻撃すると同時に、出版社・取次・書店による委託・再販制度に警鐘を鳴らす。
 本著の発行は2008年(旧版は2000年)、坂本氏はすでに鬼籍に入り、ブックオフは全国800店舗を超えていまなお健在だ。
 あのジェフ・ベゾスがアマゾンを立ち上げたのが1993年(実際は前身のCadabra)、日本でストアが開設されたのが2000年11月だ。郊外型の大量消費生活にシフトした消費者合わせて(?)、インターネットというテクノロジーと物流という腕力を駆使して物販の在り方を変化させたアマゾンとの同時性は偶然なのだろうか。
 ひとつの時代の変化を考察するひとつの視点を与えてくれる一冊だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月21日
読了日 : 2023年8月21日
本棚登録日 : 2023年8月21日

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