質量共に充実した一冊。
1968年、パリを燃え上がらせたフランス五月革命。その現場に居合わせた著者による、「試論」にして「私論」です。
六十八年五月以前を経て、ナンテールで燃え上がり始めた学生たちの「革命」。記録と記憶を頼りに革命の情景を記し、過去と現在両面から思索する様は一見の価値あり。革命の記憶に肩入れすると同時に思想的検討をくわえる姿は、現場にいた学者ならではでしょう。
知識人と革命の関わりについても多くを割いており、示唆に富みます。祝祭的性質を持つ革命が、フランスのトップエリートたちに先導されていたという矛盾にも切り込んでいます。
とにかく読み応えがある、これぞ新書とでもいうべき新書。是非どうぞ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年10月9日
- 読了日 : 2012年10月9日
- 本棚登録日 : 2012年10月9日
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