ここでの「路地」とは、カミングアウトした著者が呼んできた部落ではなく、旅先の鄙びた界隈、三業地の露地裏、一般に言うところの路地を指す。僕自身、そうした場末にとても魅力を感じていて、つげ義春の『貧困旅行記』を読んだりしては、若いころにもっと訪ねておけばよかったと悔いている。昭和の原風景であって、今やエキゾチックにさえ思える。ここに載る八甲田山、酸ガ湯温泉、真栄原には寄っているが、まあ通り一遍の物見で、やり手婆や立ちんぼど掛け合うなんぞ手だれた真似には及ばない。面白いくない旅ばかりと著者は振り返るが、観光ならぬ旅とはかようなものであろうにと憧れる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年11月24日
- 読了日 : 2018年11月24日
- 本棚登録日 : 2018年11月24日
みんなの感想をみる