名画を見る眼 (岩波新書 青版 729)

  • 岩波書店 (1969年10月20日発売)
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 昨日私は、ゴッホのひまわりを「ハシゴ」してきました。何のことかよくわからないと思いますが、14時からSOMPO美術館の開館記念展「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」をみて、次に、15時30分から国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」をみてきたわけです。せっかく名画に触れるわけですから、行き帰りには、先日続編を読んだ本の、元の方を読みながら出かけることにしました。

 この本で取り上げられている画家は15名。ファン・アイクからマネまでの時代となりますが、正直、私はよく知らない画家が結構含まれています。それでも、以下の7名は、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」で、偶然にも作品をみるできました。(本で紹介されている絵ではありません。)
 2 サンドロ・ボッティチェッリ
 6 ディエゴ ・ベラスケス
 7 レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン
 8 ニコラ・プッサン
 9 ヨハネス・フェルメール
11 フランシスコ・デ・ゴヤ
13 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

 絵の解説が素晴らしいのは、先に読んだ続編と同様ですが、Wikipediaなどと違う説明もあって、なかなか興味深いです。例えば、フェルメールの『絵画芸術』(この本では『画家のアトリエ』)は、Wikipediaでは、「画家の顔は見えないが、フェルメール自身の自画像ではないかとされている。」となっていますが、この本では、p.107 〝ほかの誰でもないとすれば、フェルメール自身ではないかということも考えられる。事実、そのように主張する学者もいないわけではない。しかし、自己自身の「名声」をそれほどまで喧伝することは、慎ましやかな性格のフェルメールには似つかわしくないことのように思われる。〟となっています。どちらが正解かわかりませんが、いろいろな説があることがわかって興味深いです。

 あとがきに、こんな一文を見つけました。p.189 〝もちろん、絵というものは、別に何の理屈をつけなくても、ただ眺めて楽しければそれでよいという見方もある。それはそれで大変結構なことに違いないが、しかし私は自分の経験から言って、先輩の導きや先人たちの研究に教えられて、同じ絵を見てもそれまで見えなかったものが忽然として見えて来るようになり、眼を洗われる思いをしたことが何度もある。〟
 私は、「単に自分が好きな、あるいは自分好みの絵を見つけて、何となく満足した気分になって美術館をあとにする、という程度」なのですが、この機会にもっともっと知りたくなりました。

 ちなみに、この著者は、当時国立西洋美術館の館長さんだったそうです。いろいろご縁のある本に出会うことができました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2020年8月16日
読了日 : 2020年8月16日
本棚登録日 : 2020年8月16日

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