生命の謎に量子力学が関わっていると言われると、いかにも胡散臭い。しかし、シュレディンガーが言うには、マクロなものを考える古典物理学の観点から考えると、遺伝子は1000回に1度エラーを起こす程度にはサイズの小さい代物だが、実際にはエラーは十億分の1未満で、ここには量子レベルの厳密さが関わっているはずだ、ということらしい。この理屈は、物凄く分かりやすく、この本の本質を付いていると思う。一方で、生物のような温かくて湿った場所では、粒子の量子的な性質は失われてしまうということも、この本の重要なテーマである。このテーマは現在急速に研究が進んでいるらしいが、現在有力な考え方についても一応書いてあるので、真面目な良い本だと思った。
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- 感想投稿日 : 2023年8月21日
- 読了日 : 2023年8月21日
- 本棚登録日 : 2023年8月15日
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