日露戦争時に、乃木希典と接点があった米国従軍記者が著した回想録。
ただ、接点があったとは言え、読んでみると、やはり極めて限定的だと分かるので、正直、これを以って乃木希典を語るのは、難しいと感じた。
一方、乃木が当時発した言葉、行動、態度は、偽りのないところだと思うので、彼の人柄を察するには、貴重な史実なのかもしれない。
(加えて、当時の戦地の状況が記載されており、新たな発見もあった)
乃木の自決も含めて、古武士精神を持つ乃木に対して、尊意を抱いていた欧米人がいたことは明らかだし、おそらく欧米で失いかけていた騎士道精神を重ねてみていたのかもしれない。
この本が出版されたのは、第二次世界大戦前でもあるし、プロパガンダ的なところもあったのだろうか。
以下抜粋~
・大きな仕事よりも、むしろ人格によって、その時世に非常に貢献する人が、30年に一度か、60年に一度くらい出現することがある。
・「暁天の星は次第に見えなくなるが、消えてもなくなることはない。われわれは諸君に会わず、諸君もわれわれに逢うことはないにしても、おのおの何処かで健在して、たがいに思いを馳せることであろう」
・将軍は、日本古来の理想主義の焔が、西洋文明との接触によって衰え切ったのを、あるいはこの殉死によって再び燃え立たしめることもできようと、胸中ひそかに思っていたかも知れぬ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年11月21日
- 読了日 : 2021年11月21日
- 本棚登録日 : 2021年11月21日
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