ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

  • 日経BP (2021年8月19日発売)
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ジム・コリンズのビジョナリーカンパニーシリーズの最新版。
毎回、経営書を超え、人の生き方にも影響を与える、本質を突く物事の考え方を示してくれる。
膨大な調査、著名人の言葉のライブラリーからの引用が、大変な説得力を持つ。

以下抜粋~
・偉大な企業をつくるためのもっとも重要なスキルは、人材について優れた意思決定をする能力だ。はっきり言っておこう。正しい人材なくして偉大な企業はつくれない。

①この人物を重要ポストにとどめているために、他の人材が去りはじめていないか。
②価値観の問題か、意思の問題か、あるいは能力の問題か。
③「窓」と「鏡」をどう使うか。
④仕事を「業務」とみるか「責任」とみるか。
⑤この1年で、この人物に対するあなたの信頼は高まったか、下がったか。
⑥バスの問題なのか、座席の問題なのか。
⑦この人物が退社したら、あなたはどう感じるのか。

・「すばらしいキャリアを築きたいなら、一番良いのはキャリアのことばかり考えるのをやめることだ」

・ブートキャンプの本当の目的は最強の隊員を見つけることではなく、極度のプレッシャーにさらされたときに周囲を助けるより自分のことを優先するような人材を排除することだ。

・有効なリーダーシップ・スタイルの要素
誠実さ、決断力、集中力、人間味、対人スキル、コミュニケーション能力、常に前進する姿勢

・「リーダーシップとは、部下にやらなければならない、やりたいと思わせる技術である」
①やらなければならないことを見極めるのはリーダーの役目
②重要なのはやらなければいけないことをやらせることでなく、やりたいと思わせること
③リーダーシップとはサイエンス(理屈)ではなくアート(技能)

・判断は「誤る」ほうが「しない」よりましなことが多い。

ビジョンのメリット
①ビジョンは通常では考えられないほどの努力を引き出す。
②ビジョンは戦略的、戦術的判断を下すコンテクスト(文脈)となる。
③共通のビジョンは一体感、チームワーク、共同体を生み出す。
④ビジョンは企業がひとにぎりの中心人物に依存した状態から脱却する基盤となる。
⑤考えられないほどの努力を引き出す。

・企業を評価する第一の指標は、利益を最大化しているか否かではなく、経済活動のリスクをカバーするに十分な利益を生み出しているかだ。(ドラッカー)

・私が「もう十分だ」と思うことは未来永劫ない気がしている。この世界にはたくさんの壁があり、生きている間に超えられない壁は常にあるだろう。重要なのは、そこに向かって努力しつづけることだ。(スティーブ・ジョブズ)

・決して実現されることのないパーパスと違い、ミッションは実現可能だ。

・ミッションの4類型
①目標、②共通の敵、③ロールモデル、④内部変革

・第5水準の経営者
個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業をつくり上げる。

・偉大な組織を築く人々は、パラドクスに動じない。物事を二者択一で考える「ORの抑圧」に縛られない。むしろ「ANDの才能」によって自らを解放する。
二項対立を二面性としてとらえ直した例をたくさん見てきた。
創造性AND規律、謙虚さAND大胆さ、コストAND品質等々

・ハリネズミの概念
①情熱をもって取り組めるもの、②自社が世界一になれる分野、③経済的競争力を強化するもの、この三つの円が重なる部分をしっかりと理解することから生まれる、単純明快な自己認識。

・効果的戦略を策定するための4つの基本原則
①戦略はあなたのビジョンに直結するものでなければならない。
②戦略はあなたの会社の強みや固有の能力を活かすものでなければならない。
③戦略は現実的でなければならない。
④戦略策定には実現のカギを握る人々を参加させるべきだ。

・問題や不愉快な事実を指摘した者を罰したり、敵視したりしたはならない。むしろ感謝すべきだ。
有効な戦略的決定を下すには、現実がどれほど厳しいものであっても直視する姿勢が必要ということだ。

・確かな戦略的判断を下すには、ビジョン、内部評価、外部評価という3本足のすべてがそろっている必要がある。

・イノベーティブな企業になるために必要な基本要素。
①どこで生まれたアイデアでも受け入れる力
②自ら顧客になる
③実験と失敗
④社員がクリエイティブになる
⑤自律性と分権化
⑥報酬

・「組織には混乱がつきものだ」
混乱を完璧に抑えようとする試みは、必ず失敗する。

・クリエイティビティを刺激するためのマネジメントルール8カ条
①励ます。あら探しをしない。
②決めつけない。
③内気なタイプを後押しする。
④好奇心を刺激する。
⑤必要を生み出す。
⑥喧騒から距離を置く時間を与える。
⑦グループによる問題解決を促す。
⑧「楽しむこと」を義務づける。

・偉大な企業の研究を続けるほど、その最大の強みは確固たるイノベーション能力ではなく、イノベーションを「スケール(規模拡大)」する能力だと確信するようになった。
長い目で見れば、ベストはファーストに勝る。

・SMaC(Specific,Methodical and Consisitent)
細部にこだわり、着実で一貫性がある。

・成功の究極の秘訣
秘訣があるとすれば、これだろう。
偉大な企業は敬意という基礎の上に築かれる。
顧客に敬意を払い、自らに敬意を払い、お互いの関係性に敬意を払う。何よりも重要なのは、社員に敬意を払うことだ。出身や経歴、社内の立場にかかわらず、あらゆる社員に対してだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2022年2月5日
読了日 : 2022年2月5日
本棚登録日 : 2022年2月5日

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