この著者の歴史推理物をいくつか読んでみて、行きつくところはこの大シリーズということになる。以前から梅原猛が好きだったこともあり、いつか手に取ってみたいと興味があったのだが、いかんせん毀誉褒貶が激しく二の足を踏んでいたもの。今回実際に読んでみてつくづく納得した。卑弥呼だの邪馬台国だのは諸説あって必ずしもこの著者のオリジナルではないが、倭の国の語源、卑弥呼や神功皇后の正体から、天皇家の出自にいたるまで、旧弊な固定観念を捨てた歴史の新解釈、というて点では文句なしにおもしろいと思う。だがしかし。書きぶりが悪すぎる。個人の解釈だから主観的なのは仕方ないが、自己正当化のための他者攻撃、くどくどした弁解、重ね重ねの例え話には辟易してしまう。ここまでくると正統歴史観への意識過剰からくる被害妄想としか思えない。内容だけで十分興味深いのだからもっとさらりと書けないものか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2016年5月22日
- 読了日 : 2016年5月18日
- 本棚登録日 : 2016年5月22日
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