紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく

  • 原書房 (2011年12月1日発売)
3.97
  • (19)
  • (33)
  • (18)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 421
感想 : 50
4

 新聞の書評で見かけて、面白そうだったので(もともとがプラント・ハンターという人種が大好きだったことでもあり)、即購入。表紙デザインも非常に好み。

 現在、紅茶の原産国と言えば真っ先にインドがあげられるわけなのだけど、爾来、茶は中国が生産を独占していたもの。それがどうして海を渡り(当時の航海は非常に時間がかかるため、植物の輸送には不適切であった。というか、植物にやる水があったら人間が飲むし、タネは海水にやられて腐ってしまいますな……)、インドに持ち込まれたのか?

 その立役者であるプラントハンター、ロバート・フォーチュンの活動記録を元に描いたノンフィクション。
 普通の小説仕立ての本かと思ったけれど、あくまでもドキュメント風にさらっと描かれているので、「大冒険!」「危機、また危機!」な展開を期待して読むと失望するかもしれない。
 それ以上に作者が力を入れて描写しているのは、

・ 有用な植物が新しく発見されたり、輸入された際、それらがどれほどの経済効果や、国際情勢の変化を及ぼすか。
・ なぜ、紅茶がこれほどまでに愛飲されるようになったか。
(最初は英吉利でも緑茶が愛飲されていたけれど、そのほうがよく売れるから、と中国側が薬品使って翠に着色していたことが明らかになったから。← どっかで聞いたような話だ……。綺麗な色にホイホイつられるほうも悪いんだけど……)

 などなどの、科学的・経済学的な見地からみたあれこれであることがとても面白かった。たかが嗜好品、されど嗜好品。日本人の食生活の変化について、ちょっと考えてみたくもなる一冊。

 ちなみに自分は、紅茶ならアッサムが一番です。マスカットフレーバーとか全然わかんないy=ー( ゚д゚)・∵. ターン

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2012年2月21日
読了日 : 2012年2月21日
本棚登録日 : 2012年2月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする