美女いくさ (中公文庫 も 26-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2010年9月22日発売)
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感想 : 13
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浅井三姉妹の末娘が主人公。
名前は督(ごう)または小督ですが、結婚してからはお江与。
母に似た美貌で、しっかりした気性。
秀吉の命で11で嫁ぐ。伊勢湾東岸の水軍を束ねる佐治一成との政略結婚だが、幼なじみで親戚にも当たる相手とは仲がよい。
大河ドラマの原作では最初の結婚は幼いうちで実質がなく、すぐ連れ戻されたというのとは違って、最初の結婚は相思相愛で18まで続いたのが家康と秀吉の駆け引きの中で引き裂かれたという話になっています。
こちらは、母のお市にやや似た人生になりそうだったという感じでしょうか。
もともと異説があるのか…?
子供がいないため、いつ離別したかは不明なのかも。
二度目の結婚は秀吉の養子の秀勝とだが、あまりたたずに朝鮮出兵となり、死別。

秀吉のことを最初は茶々ほど忌み嫌っていないのだが、夫の一成と引き裂かれてしまったために恨むことに。
京都にいる元夫の元へ、密かに抜け出して会いに行って、妊娠してしまい、まもなく結婚させられた秀勝の子供と取り繕う。
秀秋の若い頃も出てくるが彼に好感を抱くのは、後に起きることを思うと…
秀吉が老いて残虐になったために、北の政所が愛想尽きた様子も描かれます。

三度目に、年下の秀忠と結婚するときには今度こそ骨を埋めたいと強く覚悟していたという。
家康にもよくぞ申したと言われる覚悟を認められる嫁。当時の感覚ではこれほどの名門の血を引く督は、秀忠に箔をつけてくれる花嫁だっただろうと。
その後は子宝に恵まれた人生だけど、戦国時代末期の政略結婚のために、幼いうちから次々に子を手放さなければならないというのは哀しいですね。
春日局とは気が合わず確執があるが、いつまでも家光が懐かないのに反省して気持ちを切り替える。
最後は、有名な家に嫁いだ娘達の近況をちらっと見せるという趣向。これがなかなか面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2010年12月17日
読了日 : 2010年12月16日
本棚登録日 : 2010年12月16日

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