緑色の背表紙のハヤカワ文庫。これがうちにはとてもたくさんあります…
ディック・フランシスの36作目。文庫では2003年発行、原著は97年の作品です。
もう何度読んだのか、わかりません。
フランシスをまだ読んだことのない人はとても幸せだという言葉があります。まったく、その通り〜これから40冊も読める楽しみが残っているのですから!(^^)
フランシスの作品は一作ずつ独立していますが、主人公の男性の一人称で語られるのは共通しています。
職業年齢は様々ですが、意志が強く、思いやりがあり、何らかの専門知識がある所も共通点なのです。30歳前後が一番多いでしょうか。
さて、この作品は主人公のベンが17歳と若いのが異色。
環境の変化への戸惑いや端々にあらわれる素直さなど、特に最初の方に初々しさがあるのが新鮮ですね。
大学入学前の猶予期間にアマチュア騎手になっていたベンが、いきなり解雇されます。
理不尽な仕打ちが実は父の意向で、騎手を諦めさせるため。議員の補欠選挙に出るために家族の応援を必要としていたのでした。
早く母を亡くして伯母一家に育てられたベンと父の間には距離があったのです。
反発も感じつつ、カリスマ性のある父を誇りにも思うベン。あっと言う間に生臭い選挙戦に巻き込まれます。このあたり、政界の描写がリアル。
敵対していた前議員の妻オリンダの派手な押し出しも印象的。
素直で感じの良いベンは、次々に出会うおばさま方の信頼を得ていくのです。
さらに、父を失脚させるための陰謀で危険にさらされ、急速に成長していく…
一番の傑作とは言いませんが、フランシスには、はずれ無し!です。
- 感想投稿日 : 2006年8月1日
- 読了日 : 2006年8月1日
- 本棚登録日 : 2006年8月1日
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