落ちぬ椿: 上絵師 律の似面絵帖 (光文社文庫 ち 6-1 光文社時代小説文庫 上絵師律の似面絵帖)

著者 :
  • 光文社 (2016年7月12日発売)
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感想 : 38
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女絵師が主人公のシリーズ1作目。
上絵師とは、着物の柄を描く職人のこと。注文に応じて描くので、芸術性も高い仕事ですね。

律はふた親を亡くし、一回り下の弟と一緒に、神田相生町の裏長屋で暮らしています。
父は上絵師で腕が良かったのですが、5年前に母が亡くなった時に父も怪我をして、以前のようには仕事が出来なくなっていた。
子供のころから父を手伝っていた律は、父の代わりに仕事を仕上げるようになっていたが、やはり怪我で腕が落ちたとささやかれる。
父も亡くした今、弟を育てるためにも、自ら腕を上げて上絵師として認められたいのだが‥

長屋の隣には教養ある寺子屋の先生が住んでいて、見守ってくれているし、幼馴染の涼太やその妹の香もおやつ時にやってくる、心地いい環境。
涼太とは、ほのかに思いあっているが打ち明けたことはなく、律の方は身分違いと諦めていました。
涼太は大きな茶屋「青陽堂」の跡取り息子だから。

ある日、頼まれて事件にかかわる似顔絵を描いてみたところ、これが良く似ていて解決に役立つという出来事があり、律のところへは何かと相談が持ち込まれるようになります。
と、要素がてんこ盛り!
どっちへ転ぶのか? 1作目では先が見えませんが。
律のつつましく真面目な人柄と、丁寧な書きぶりが合っていて、好感が持てます。
周りの人たちも江戸の町なかに現実にいそうで、ほとんど良い人ばかり。
楽しみなシリーズの始まりです。
この続きも、ずうっと読んでます☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2023年2月23日
読了日 : 2022年5月25日
本棚登録日 : 2023年2月23日

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