物語タイの歴史: 微笑みの国の真実 (中公新書 1913)

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  • 中央公論新社 (2007年9月1日発売)
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 国王をはじめとするタイの王室は、タイ国民から深く敬愛されているが、これは「新しい伝統」であると言えよう。(中略)国王一家は頻繁に地方行幸を行い。国民の辛苦を見てまわった。国王自身も僻地の地域開発に大きな関心を示し、自らの博学を活かして具体的な施策を低減することもあった。この精力的な地方行幸が、国民と国王や王室との距離を縮め、国民の敬愛度を深めることになった。(中略)この「伝統」は、幼い頃から国王とともに各地を巡幸してきた皇太子や王女にも引き継がれている。現在でも夜八時からは各局とも王室関係のニュースを流しており、その日の王族の公務状況が報道されている。(pp.98-100)

 タイの第一次世界大戦への参戦は、「世渡り上手」な国タイの外交姿勢が現れた典型例である。すなわち、そこには「危ない橋は渡らない」「最小の負担で最大の利益を得る」という発想が存在した。(p.140)

 タイの首都バンコクは東南アジアでも有数のメガシティーへと成長した。バンコクを訪れる人は誰でも、多数の高層ビルが立ち並び、高速道路や都市鉄道が延びる近代都市の姿と、その狭間に残された伝統的な寺院や住居に囲まれた低層の空間のコントラストを目の当たりにするであろう。現在のバンコクは一面では東京やニューヨークなど他のメガシティーと同じ様相を持ち、伝統的な景観は徐々に薄れつつあるものの、市場や繁華街の独特の「活気」は依然として健在である。

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感想投稿日 : 2016年11月5日
読了日 : 2016年11月4日
本棚登録日 : 2016年11月4日

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