所謂、法廷ミステリーであるがとても重い内容であった。
前半は、裁判所の判事である夫悦朗と佐紀子の娘である弥生が原因不明の発作に襲われ苦しむ内容で始まる。
弥生は、悦朗の教え子で裁判官の石峰と結婚して二歳の娘と家庭を築いているのだが、突然激しい動悸や発汗、不安感や眩暈が続き気を失うことが度々起こるようになる。
病院での検査でも異常はなく、最後は精神科や心療内科を受診。
不安神経症あるいはパニック障害と診断され投薬を受けるが、治ったかに思えてはまた起こる発作。
そして、病院で知り合った女性にセラピーを受けるよう勧められ…
そこからこの家族は、事件へと繋がる道へ向かってしまう。
後半は、事件の詳細が法廷で明らかになるまでのとても長い道のりを少しずつ紐解く内容である。
黙秘を続ける真意が徐々に明らかになっていくのだが、最後の最後まで目が離せなかった。
心の病は、目に見えるものではなく、自分の中での孤独な闘いのような気がする。
誰にも言えない苦しみだからこそ病名などはっきりわからないのではないのか…と思ってしまう。
だから治療法もないのでは…と感じてしまうのである。
実際、信頼できる医師なのかどうかの判断も難しい。
不安なときに病因を究明し適切な治療を行ってくれたら安心して信頼するのかもしれない。
だが、悪意があれば違った方向へと洗脳されてしまうということを知り、怖くなった。
ラストは、家族の絆が修復されたことで安心した。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月19日
- 読了日 : 2022年8月19日
- 本棚登録日 : 2022年8月19日
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