親戚に貰った本。自分からはおそらく手にしなかった本だけど、読めて良かったと思う。
解説にもあった通り、言葉の選び方が正確で隙がない。作者の意図通り、読者が読み込むように道を示してる。
登場人物が他の小説に比べて、より魅力的なのも特筆すべき所だろう。
真介がいい男に見えすぎての贔屓目かもしれないが、陽子や日出子、美代子もそれぞれの良さが押し付けがましくない形で表現されている。
作者は概して気の強い女、さばけていて、常識を備えつつチャーミングな(容姿というより仕草が)女性がタイプだろうと想像がつく(笑)。
また、首切り(リストラ)面接という舞台装置もこの小説では重要な要素だ。
『仕事』のやりがい、生きがいと表裏一体になったルーティンであったり”腐り”であったり、時には社内の対人関係など。
表立っては中々つつけない内容を、主人公、真介がズバズバ指摘することによって人の醜さや情けなさが表面化してくる。
その結果、人物にきれい事だけじゃない人間らしさを与えて、小説としても頁だけじゃない厚みを増してくるといった様子だ。
最後に陽子は、偶然出会ってしまった真介の昔の恋人の存在を彼に伝えたのだろうか。
伝えてなければいいと思う。お互いに傷つくかもしれないから。
おそらく彼女の性格からいってそんな野暮な事はしないだろう。
さぁ、『借金取りの王子』でも読むかなぁ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年1月16日
- 読了日 : 2013年1月16日
- 本棚登録日 : 2013年1月16日
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