改訂版デビルマン(3) (KCデラックス)

  • 講談社 (2012年6月6日発売)
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感想 : 3
4

 永井豪のアニメはまずマンガの原作があってアニメ化されるのではなく、アニメの企画から始まり、アニメの製作と平行してマンガが書かれるという経緯をとったそうだ。ところが評者は『デビルマン』のアニメはまったく見たことがないのに、マンガは連載中に読むという享受の仕方をしたので、いまだにアニメ版デビルマンの画像を見ると笑ってしまう。あんなヒーローじみたデビルマンって何の悪い冗談、という感じ。
 マンガ版のデビルマンは下半身にケモノじみた毛が生えていて、しかも悪魔の尻尾がある。悪魔の身体能力を人間が手に入れたという設定なのだから当然とはいえ、ヒーローといったらウルトラマンや仮面ライダーが思い浮かぶ時代に、あれは凄いインパクトだった。だが不思議とそれは不快ではなく、怒るとますますその顔貌はケモノじみて、必殺技を決めるのでもなく、デーモンの羽根をもぎ取ったり、甲羅を剥がしたり、まったく野蛮で力ずくの戦闘をみせるのも、まだじゅうぶん飼い慣らされ切っていない子どもというケモノの心に訴えかけるものがあったのだろう。そうした表現を洗練させたのが、『ドラゴンボール』などで登場する、怒りによって1ランク高い戦闘能力を手に入れるという常套的設定の起源のひとつだろうか。
 アニメの場合、毎回、異なる敵が現れてデビルマンと戦うという対戦形式で話が進むのだが、マンガ版では連載期間の問題もあったのか、さっさと切り上げられて最終決戦に話が進んでいく。今回の改訂版では『新デビルマン』として発表された、不動明と飛鳥了が歴史をさまようエピソードが、対戦エピソードの代わりに組み込まれている。現在の創作環境だったら、対戦エピソードが延々と続いたのかも知れない。
 デーモンが人間に宣戦布告してからの話も、ところどころ話が飛んでしまっていた部分を補筆して流れはよくなったが、説明的にするならもっと描き込まなければならないんじゃないかとも思う。荒削りなものは荒削りのままにしておいたほうがいい。いや、それは言わない約束でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: デビルマン
感想投稿日 : 2016年2月4日
読了日 : 2016年2月4日
本棚登録日 : 2016年2月4日

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