近年、林業の再生が注目されている。その中で、再生への潮流として「集約的な大規模林業」及び「自伐型林業」の二つが大きい。この本では、個人が取り掛かりやすい後者について、支援するような内容となっている。
長伐期や利用間伐の促進を進めている等、個人でも持続的に収入を得ることが出来るような林業事例を、全国津々浦々多数紹介している。故に、自己流林業が満ち溢れている。これら自己流林業は多くが10数年レベルの経験則に基づいていて、安全や災害リスクへの配慮に薄い。
例えば、木の伐採方法紹介ページやチェンソーの使い方がある一方で、別のページでは危険な方法が実践されている。林道の作り方にしても岩石を破砕するなどその土地に負荷をかけつつまたその後の災害リスクを高めるような手法を紹介している。その他諸々、、。
自伐型林業そのものは良い形態だと思う。しかし、この本では始めやすいために習熟していない人の気軽な参入を促進しているように感じる。労働災害率が高い林業ではこうした参入は危険であり、チェンソーと軽トラの購入以前に体系だった施業を習得するべきでは?
今後、安全で効率の高い自伐型林業が実現するためにも森林組合は
1. 積極的に民有林管理に関わる
2.広い検証によって裏付けされた手法を指導していく
必要があると感じた。
また、様々な著者がいるからしょうがないのかもしれないが、林業単語(A材等)の説明が中盤に来ていたり、共通の話題が散発的に割り振られていたりと構成をもっと練る必要があるとも思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
教養的読物
- 感想投稿日 : 2021年2月2日
- 読了日 : 2021年2月2日
- 本棚登録日 : 2021年2月2日
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