この作品は、本の中に本を閉じ込めた奇妙な作りになっている。わざわざ、乱丁ではない旨を断るぐらいに徹底している。そんな荒唐無稽で無慈悲な高等テクニックの部分ではなく、小説家を目指している方にもお勧めの一冊です。
「冒頭の不可解性」
「中盤のサスペンス」
「結末の意外性」
「何か過剰なもの」
これらは、ミステリー作家を目指していない方でも参考になると思います。
本編についてですが、本の中に閉じ込められた本には、読者は違和感や綻びに気付き、よもや犯人さえ予想せしめるでしょう。だが、この作品の真の面白さは、その一冊を挟んでいるエピソードにあると言える。プロローグに「あとがき」があるだなんて、どう捉えたらよいでしょうか。しかも、この本の中の本の作者は、この事件を目撃していて、登場人物の一部名前を変えて小説にしたとまで告白しているのです。(もちろん、フィクションですが)
作品は幕を閉じたが、物語は終わりを見せていない。
そして読者は、二度三度となく、まんまと騙される。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2019年12月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年12月17日
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