不幸な女性をたくさん記述している。
別冊文藝春秋とオール読物に掲載したもの。
2001年から2003年。
初めの数題は、前の話の脇役が、次の話の主役になって、関連した話しになっている。
唯川恵の腕が鳴っている。
どんなに不幸な人間を主人公にしても、
誰かを恨んだりすることがあっても、
犯罪をひょっとしたら犯すことになるかもしれなくても、
人間性を持っていようとする意思を感じる。
どんなに運が悪くても、
人間として生き、
人間として暮らし、
社会の片隅になっているか、社会を支えている。
どうしてここまで丁寧な思いを綴ることができるのだろう。
自分と違うのであれば、雑な記述になるかもしれない。
自分と同じであれば、怨念が先立つかもしれない。
淡々と、包み隠さず、騒ぎ立てず、
悲しいことは悲しく、
嬉しいことは嬉しく、
始めがあって終わりがある。
そんな著者に敬意を表したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
唯川恵
- 感想投稿日 : 2013年2月11日
- 読了日 : 2013年2月11日
- 本棚登録日 : 2013年2月11日
みんなの感想をみる