カソウスキの行方 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年1月17日発売)
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本棚登録 : 1001
感想 : 125
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シニカルにいつも心の中で毒づいているイリエさんのOLライフ。
OLライフなんて書くとイリエさんにキレられそうな気がします。イリエさんは圧倒的に女性が生きづらい会社社会を、敢えて恋愛に全フリしてやり過ごそうとします。
恋愛依存度高くないのに、女子力高くないのに、高いフリをして、自分さえ誤魔化して、恋愛が生きがいのようなフリをして実施する仮想恋愛プラン『カソウスキ』。それはまるで、不条理な社会への怨嗟の様にも感じられます。そもそもが雑で乱暴なプランで、真面目に完遂する気があったのでしょうか?
いや、なかったのでしょう。ずーっと心の中で毒づきながらも、結局は真面目に仕事をこなしています。

真面目なことはそんなにいいことではない。真面目であればあるほど生きづらくなる一方だとイリエさんも言っています。『カソウスキ』で少しでも生きやすくなったのであれば、それは正解だったのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月20日
読了日 : 2023年9月18日
本棚登録日 : 2023年9月17日

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