【2024年68冊目】
今作も真島誠が池袋を駆け抜ける――歩くだけで視線を奪うスカウトマン、往年のロックスターの大博打、人形に姉を殺された中国人女性、自殺を止めるため東奔西走する反自殺クラブとスパイダー。池袋ウエストゲートパークシリーズ第五弾。
シリーズを追うごとにどんどんとキャラクターにも深みがでて、面白くて仕方がない本作。誠が向き合う事件は面白いと表現しては不謹慎なものも多いのですが、物語の構成と魅力的なキャラクターを前にすると、やっぱり「面白い」というのが最初に口をついて出てしまいます。
五作目を読んで思ったのが、ちゃんと登場人物たちが日常を生きていることが丁寧に書かれているなということ。特に探偵業をしてもお金をもらうことはほとんどない主人公ですから、その他の部分がわからなければ、どうやって食ってんだろう?となって、途端に虚構感が強くなる。
けれど、誠の日常として、フルーツ屋という地に足つけた商売をちゃんとしているとこがきっちり描写されているので、本当に彼が送る池袋での日常の延長線上として、そして同じ世界に住む人間として物語に入っていけているのではないかなと思います。
きっと石田衣良さんの仕掛けてるポイントはそこだけではないんでしょうけれど。読む手を止められないシリーズです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
石田衣良
- 感想投稿日 : 2024年3月31日
- 読了日 : 2024年3月31日
- 本棚登録日 : 2024年3月31日
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