清朝滅亡、軍閥の台頭、日本による占領、国共内戦を経て成立した中華人民共和国。20世紀初頭から後半にかけて、激動の中国を生き抜いた一族の女性三代の物語です。
広大な国土を支配するには苛烈にならざるを得ないのでしょうか。国の統一後も理想と現実に引き裂かれる人々の苦悩が、著者の家族の生き様を通じて描かれています。
後半で自分の人生を生きようと決意し立ち上がる著者、三代目ユン・チアンの強い意志が光ります。峻烈な時代を生きつつも、人々の至誠や真心を信じる彼女が、ようやく夢を掴み取る場面に心を動かされました。友情について語られる場面で、雪中に炭を送る(雪中送炭)、という言葉が出てきます。少し状況は違いますが日本には、敵に塩を贈る、という言葉があります。国や時は違えど、義を尊ぶ気持ちは共通なのでしょう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
外国文学
- 感想投稿日 : 2020年6月13日
- 読了日 : 2020年6月13日
- 本棚登録日 : 2020年5月31日
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