食堂のおばちゃんシリー7冊目。
姑の一子と嫁の二三が切り盛りする、はじめ食堂。
真夏の8月から12月まで、万里の調理師試験を挟んでの美味しい話。
第一話 うちのカレー・・・猫に引っかかれて手が腫れ上がって
しまった、二三。はなが紹介した山下医師の手当と万里が
連れてきた助っ人は繋がる縁の証。健康の有難さも知る。
第二話 ぶっかけ素麺で行こう!・・・自動車免許を巡っての、
山手と息子の不和。ところが息子は足を挫いてしまう。
張り切る山手だが・・・人は年齢じゃない。季節は暦じゃない。
第三話 漬丼の誓い・・・3つの湯島天神のお守りが万里の試験を
後押ししてくれる。会場へ向かう電車で起こった事件。
昔の万里ではない、勇気の出し方は大人の対応。
第四話 豚汁を止めるな!・・・ダンスの中条先生が事故で骨折。
メイがとった行動は、祖父への家族愛溢れるものだった。
中条が気づいた味噌汁の味。そして、万里の試験合格!
第五話 危険なモンブラン・・・万里の合格祝いは「風鈴」で。
メイと中条、時間ときっかけは隔てた確執を取り払った。
数日後、試験の日の事件の男が店に。人の繋がりは妙味。
<巻末>食堂のおばちゃんのワンポイントアドバイス・・・レシピ。
優しい心遣いが味付けになる大衆食堂での、人情話短編集。
性的少数者。訪問医療と在宅医療。高齢者の自動車事故と免許返納。
コレステロール値とダイエット等々、令和の時代の始まりの
話題があちこちに散りばめられています。
特に老いの話は「はじめ食堂」の二人や常連客にも迫る問題だな。
でも味の想い出と記憶は愛おしいもの。
物語のあちこちに登場した、カレー談義や懐かしいお袋の味、
生海苔の佃煮(これ絶品!冬の楽しみです)等は、楽しめました。
「どんな料理を作っても、その作り手のひと工夫が加われば、
“はじめ食堂風”オリジナル料理となる。」
それを実践する万里が調理師試験に合格して、本当に良かったです。
- 感想投稿日 : 2022年10月20日
- 読了日 : 2022年10月20日
- 本棚登録日 : 2022年10月10日
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