キノの旅 (7) the Beautiful World (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2003年6月10日発売)
■書名
書名:キノの旅〈7〉the Beautiful World
著者:時雨沢 恵一
■概要
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。
短編連作の形で綴られる、第7弾。
▼収録話
「何かをするために・b」
「迷惑な国」
「ある愛の国」
「川原にて」
「冬の話」
「森の中のお茶会の話」
「嘘つき達の国」
「何かをするために・a」
■感想
キノシリーズ、第7弾です。
この巻、面白いです。
「迷惑な国」「冬の話」「何かをするために」の3つが好きですね。
「迷惑な国」は話的には読んでいてイライラするので好きではない
のですが、裏を返せば、自分もこうやって考えている部分があるな~
と思い、好きとしています。
自分と物語の登場人物で違うのは、程度の差だけです。
これを読んで頭で考えると、自分のご都合主義(矛盾)がはっきりと分
かりました。
このような文化、宗教、考え方の違いは、論理的なものではなく、感情
的なものなので、分かりあるのって本当に難しいです。
この物語のように、一方が自分の考え方を押しつけてしまうと結局戦争
に発展するように思いますが、押しつけないで妥協点を探せば違う物語
が成り立ったのではないかと感じました。
(恐らく、わざとだと思いますが。。)
本当に世の中には、灰色の部分が蔓延しているな~
「冬の話」は医療が許されていない国に辿りついた医師の話です。
中々、深いです。
医師の過去の事情と葛藤ともう少し丁寧に描いても良いのでは?と
思いましたが、この医師の行動は、医師の鏡だと思います。
また、この話では、珍しくキノが感情を揺さぶられている描写があ
るのも、面白い点です。
「何かをするために」は、キノが旅に出る前の、キノと師匠の物語
です。(a,bで分ける必要性は皆無だと思いますが・・・)
キノが(恐らく)初めて自分の身を自分で守った話だと思います。
人を疑わない事の怖さ、人を信じる事のむずかしさ、自分の身を守る
事のむずかしさ、文化を知ることの大事さなど、色々と考えさせられ
る物語です。
細かいですが、キノが、現代よりも女の子なので、話し方の違いも
面白い部分だと思います。
- 感想投稿日 : 2012年2月11日
- 読了日 : 2012年2月11日
- 本棚登録日 : 2012年2月11日
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