この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)

  • 筑摩書房 (2016年6月8日発売)
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安倍さんが嫌う朝日新聞から出た本だから、全体として安倍さんを批判する本かと思ったが、バランスのとれた本である。今まさにこの国を揺り動かしている安倍晋三がどこからきて、どこへ行くかを朝日の取材班が新聞に連載したものの単行本化である。裏のとれない記事はださないという編集長の方針により、とても信頼できるものとなっている。安倍さんの父親晋太郎さんは選挙に出るとき、岸の孫ではなく、父親の安倍寛の息子であることを強調したがった。しかし、安倍さんはむしろ岸さんの孫であることを意識しているし、岸さんの悲願である自主憲法の創設を願っている。これはよく知られていることだ。岸さんが安保改定をやったとき、大きな国民的運動が起き叫ばれた「安保反対、安保反対」ということばは、当時10ぐらいだったぼくでも口からついてでる。今考えると、岸さんは日本の独立と同時に結ばれた第一次安保条約の不平等性を改正したかったわけで、あれだけ反対されたことは気の毒なくらいだ。それはともかく、本書で圧巻なのは、「アベノミクス」の章で、3本の矢のうちの金融緩和がなにものかが本書でよくわかった。これだけ書かれると、それが必要なことがわかる。問題は企業がそれを内部留保し分配しなかったことである。しかも、この政策は与党、野党問わず賛成論者がいた。これだけに限らず、政治家というものは、問題によっては与野党一緒になって研究会を作り考えているようだ。そんなことも本書からわかった。これはすごいことである。安倍さんは首相になるために、社会保障についてもよく勉強したという。なるほど。野党はしっかりしないと、なかなか安倍さんをひきずりおろせないぞ。

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感想投稿日 : 2016年7月3日
本棚登録日 : 2016年7月3日

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