大乱歩や横溝に比してどうにもマイナー感の否めない二作家ではあるけれど、どの話も素晴らしい出来だった。取り分け大下宇陀児「凧」の鮮烈なラストは、今年読んだ作品中ベストかも(初出は昭和十一年ですが…)。角田喜久雄「発狂」。たった数十行で淡々と記される第二の復讐に至るまでの、怒涛の展開の凄まじさ。長編「高木家の惨劇」。トリックスター丹羽が暗い狂気に彩られた重苦しい物語に程良いアクセントを与えていて、ここまで鼻につく衒学趣味は近年のミステリにおいてすら稀だろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2012年4月7日
- 読了日 : 2012年1月6日
- 本棚登録日 : 2008年1月4日
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