新しい星

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年11月24日発売)
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感想 : 295
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 彩瀬まるさんの作品で、皆さんが読まれていてしかも高評価の「新しい星」私も読んでみました。この作品は8編の連絡短編集で、大学時代合気道部で切磋琢磨した仲間、男女4人の視点で描かれている。それぞれが約10年の時を経てこれまでの人生を振り返りつつ、現在、また「新しい星」への未来…そこにはいつも仲間がいた…。

 森崎青子:結婚、出産を経て幸せな家庭を築くはずが、出産後数カ月で娘を亡くし夫とも離婚している。
 日野原茅乃:現在は夫と娘と暮らしているが、乳がんを発病、乳房の切除を受けた。娘との関係に悩む。
 安堂玄也:就職した企業において、上司からのパワハラに耐えられず退職。対人恐怖症となり引きこもる…。
 花田卓馬:結婚し、現在は二児の父。妻は里帰り出産後、コロナ蔓延の時期でもあり帰りたくないと…。

 リアルな話、私も青子さんのような出産をしました。うちの子は小さく生まれながらも順調に育ってくれたましたが、妊娠中や出産後の不安な気持ちはすごくよくわかります…。そして、茅乃さんの娘さんへの思い…それを思うと胸が苦しくなります。4者4様の生き方がそこにはあり、コロナ禍もあって、生きにくさを抱えています。でも気を許せる仲間がいることは、かけがえのない財産、仲間っていいなって素直に思えた作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 彩瀬まる
感想投稿日 : 2023年8月9日
読了日 : 2023年8月9日
本棚登録日 : 2023年8月9日

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